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由美江おばさん(10)
アラーム音に起こされるまで、ぐっすりだった俺達は、二日酔いの軽い頭痛も何のその、朝食も美味しくいただいた。
何よりも信頼できるおばさん達に快諾してもらったことが、何よりの収穫だった。
「何時の新幹線で帰るの?」
「昼前ので。明日からまた仕事だし。」
「そう。じゃあ今度会う時は弘毅のところね。
久し振りだから、あちこち遊んでこなくっちゃ。あ、加奈子を誘う口実よ。
メインはあくまでも弘毅達のことだから。」
「お袋、ぶっ倒れなきゃいいけど。」
「そんなタマじゃないわよ。
大人しそうに見えて、あれで結構な性格してるんだから。」
「よくご存じで。」
あははっ
今頃くしゃみしてるかもな。
俺は居住まいを正すと改めてお礼を言った。
「おじさん、おばさん。
突然押し掛けた上に、ややこしい相談とお願いを持ち掛けてすみませんでした。
でも、本当に心強いです。
巻き込んでしまう形になるけどごめんなさい。
どうか弘毅の力になってやって下さい。」
「何よ、改まって。
もう乗り込んじゃった船よ。今更下船なんてできないわ。
こうなったらあのイケメン君に会って、その人となりを判断してやるわ。
こう見えても人を見る目はあると自負してるからね。
私が認めた上でもし加奈子が反対しても、ねじ伏せてやる。
任せなさい!」
「おばさん、カッコいい!」
「よっ、由美江さん、よく言った!」
「何よ、パパまで。」
あー、もう。泣きそうだ。
それを誤魔化すように後片付けを買って出て、コーヒーを飲んで一服すると丁度いい時間になった。
「本当にありがとうございました。
弘毅と打ち合わせしたら、また連絡します!」
「おじさん、千秋の結婚式楽しみにしてるから。ありがとうございました!」
何度も何度も礼を告げて、駅へと向かった。
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