199 / 280
対峙(9)
頼んだのは気取らないランチコース。
姉さんが赤石さんに話し掛ける。
「美味しそう!ここ、よく来るん?」
「ええ。接待でもプライベートでも利用しています。
ここのオーナーが私の同級生なので。」
「あら、そうなん。弘毅も連れてくるの?」
「はい。」
「そんなら、あなた達のこと……」
「ええ。話はしてあります。
そういうことに詮索しない、いい奴なんです。」
「失礼いたします。」
ここまで案内してくれたイケメンウェイターが入ってきた。
都会ってどうしてこうもみんなお洒落で格好イイんだろ。
目が肥えちゃって、帰ったらウチの旦那がヘノヘノモヘジに見えるかもしれない。
「オーナーからお届けするように、とのことでお待ちしました。」
「あら、ボトルワイン!?えっいいの?」
「はい。後程お持ちするデザートもグレードアップさせていただきますので、お楽しみに。」
「ありがとう。よくお礼伝えといてくれる?
落ち着いたら後で電話するよ。」
「承知いたしました。ではお注ぎいたします。」
「あらぁ、気の毒な 。
でもラッキー!赤石さん、ありがとう。」
「いいえ。あ、自分は運転手なので。」
「はい、ノンアルコールカクテルをご用意させていただきました。こちらをどうぞ。」
「赤石さん、私らだけごめんなさいね。
電車で来れば良かったわね。」
「いいえ。お気になさらず。
ゆっくり楽しんで下さい。」
こういうところもスマートなのよねぇ。
気取らず押し付けがましくない。
女じゃなくても弘毅が惚れるのも分かる気がする。
こんなハイスペックイケメンが上司の職場なんて、毎日がパラダイスじゃん!
「ところで、赤石さんのご家族は?
弘毅のこと…受け入れてくれるの?」
姉さんが突然切り出した。
ともだちにシェアしよう!