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対峙(9)

頼んだのは気取らないランチコース。 姉さんが赤石さんに話し掛ける。 「美味しそう!ここ、よく来るん?」 「ええ。接待でもプライベートでも利用しています。 ここのオーナーが私の同級生なので。」 「あら、そうなん。弘毅も連れてくるの?」 「はい。」 「そんなら、あなた達のこと……」 「ええ。話はしてあります。 そういうことに詮索しない、いい奴なんです。」 「失礼いたします。」 ここまで案内してくれたイケメンウェイターが入ってきた。 都会ってどうしてこうもみんなお洒落で格好イイんだろ。 目が肥えちゃって、帰ったらウチの旦那がヘノヘノモヘジに見えるかもしれない。 「オーナーからお届けするように、とのことでお待ちしました。」 「あら、ボトルワイン!?えっいいの?」 「はい。後程お持ちするデザートもグレードアップさせていただきますので、お楽しみに。」 「ありがとう。よくお礼伝えといてくれる? 落ち着いたら後で電話するよ。」 「承知いたしました。ではお注ぎいたします。」 「あらぁ、気の毒な(申し訳ない)。 でもラッキー!赤石さん、ありがとう。」 「いいえ。あ、自分は運転手なので。」 「はい、ノンアルコールカクテルをご用意させていただきました。こちらをどうぞ。」 「赤石さん、私らだけごめんなさいね。 電車で来れば良かったわね。」 「いいえ。お気になさらず。 ゆっくり楽しんで下さい。」 こういうところもスマートなのよねぇ。 気取らず押し付けがましくない。 女じゃなくても弘毅が惚れるのも分かる気がする。 こんなハイスペックイケメンが上司の職場なんて、毎日がパラダイスじゃん! 「ところで、赤石さんのご家族は? 弘毅のこと…受け入れてくれるの?」 姉さんが突然切り出した。

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