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求め合う(5)

そんなバカな…… 幾ら気持ち良過ぎたとはいえ、恋人の口淫で呆気なくイってしまうなんて……俺も年か!? いや、まだまだ枯れる年ではないっ! 吐き出したそれを全部飲み込めずにむせる弘毅に気付き、その背中を摩ってやる。 そしてティッシュを手繰り寄せ、顔に飛び散った飛沫を拭いてやった。 「弘毅、大丈夫か? ごめんな…気持ち良過ぎて……我慢できなくて、つい…」 「けほっ、ごほっ……大丈夫、です。 ふふっ。俺、達也さんの匂いで一杯、んっ」 うおおっ 俺は弘毅を抱き寄せ、腕の中に収めた。 何て、何てかわいいやつなんだ! 暴発した俺を咎める訳でもなく、俺の匂いに満たされたと微笑む愛おしい恋人。 「弘毅…弘毅、一生大切にする。 愛してる、愛してる……」 「達也さん…」 引き寄せられるように唇を重ねる。 ……その唇にはがついてるが、気付かないフリ、気にしない。 手に触れるその肌を余すところなく撫で摩ると、弘毅もおずおずと俺の身体に手を伸ばしてきた。 再び高まる熱量。 それを感じ取っているのか、弘毅の腰がもぞもぞの動いて距離を取ろうとしている。 離れようとしたその細腰を手繰り寄せ、ぴったりと密着すると、お互いにびくびくと脈打つ様子が腹にダイレクトに当たる。 「…お前の中に入らせてくれ…」 耳元で囁くと、弘毅は恥ずかしそうに目を伏せたが 「…もう、準備してありますから……」 と言うもんだから、俺の密度が更に増した。 噛み付くように唇を奪うと、ベッドへ押し倒し、そっと後孔へ指を滑らせると“くちゅっ”と滑った音がした。 あぁ、そうか。ローションまで仕込んでくれていたのか。 泣きそうなくらいに感動してそこへ口をつける。 「あっ、達也さんっ、それは」 「ダメだ。全部俺のものだから、全部貰う。」

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