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求め合う(7)

「弘毅、頼む…お前の中に入らせてくれ……」 甘えるように訴えると、弘毅は潤んだ瞳で俺の顔をじっと見つめて言った。 「達也さん…来て……」 ああっ!俺の、俺の弘毅は何て色っぽいんだ! 赤石達也、参る! って叫びたい程に俺の気分はハイテンションにブチ上がり、硬度を増し()るついた俺自身を弘毅の蕾に擦り付けた。 「ああっ」 そうか、これだけで気持ちイイのか。 甘い声を上げる弘毅が愛おしくてかわいくて苛めたくて。 調子に乗った俺は、焦らしながらゆっくりと弘毅の中に入っていった。 「んっ、んふっ…んっ」 弘毅は両手でぴったりと口を押さえて、声を出さないようにしているが、俺が進む度に感度が上がってその力が緩むのか、指の隙間から声が漏れ出る。 そんな仕草も俺をそそる。 弘毅のひとつひとつの動作が、俺を煽る元になる。 1ミリも離れたくない。 抱き合って抱き合って抱き合って。 俺の身体の一部が弘毅の中に埋まって。 一つに合わさって溶けてしまいたい。 今まで付き合った相手に、こんな気持ちになったことはない。 心からこんなに思えるのは弘毅ただひとりだ。 俺の魂の相手は弘毅、お前なんだよ。 『アイシテル』なんて言葉で片付けたくない。 それでも、それしか言えないんだろうな。 ……俺が全て弘毅の中に収まった。 遠慮がちに絡まってくる襞。こんな所まで弘毅そのままだなんて。 けれどそのうち、俺を絶妙に締め付けて呆気なく昇天させてしまうんだ。 抱いているうちに、淑男(しゅくじょ)から娼夫(しょうふ)へと変貌する、その様も身悶えする程に妖艶で美しい。 「弘毅」 「達也さん」 名前を呼び合うだけでイってしまいそうだ。 俺だけが余裕もなく焦っているのか。 弘毅、お前は今、俺のことをどう思っている?

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