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難関突破!?(2)

良かった…食欲、少し戻ってきたのかな。 揚げ物のリクエストをしてくれるならきっと大丈夫。 達也さんは激務で痩せてきてるから、少しでも栄養のあるものを食べてもらわなきゃ。 うーん…精のつくものって何だろう。後でググって探してみようか… それに…最近お互いに忙し過ぎて、ちょっと、その、アッチの方もご無沙汰だし…… 「弘毅?」 「えっ!?いえ、何でもないです!」 あらぬ妄想を抱きそうになって、慌てて否定した。 アブナイ、アブナイ。 おまけに今は仕事中だ。 みんな各部署に所用で出掛けて、ここには達也さんと俺の2人っきり。 だからこんなプライベートな話もできる訳で。 目の前に、ふっと影が差した。 え? 俺の大好きなフレグランスに包まれ、次の瞬間唇に柔らかいものが当たって、すぐに離れていった。 キッ、キスぅ!? ここ、会社!仕事中!ヤバイっ! 辺りを見回しオロオロする挙動不審な俺に、達也さんは顔を近付けると 「今日は定時に上がるぞ…そんな顔するな。 今すぐにでも押し倒したくなる…」 とバリトンボイスで告げた。 全身に甘い痺れが走った。その声、反則! うっ、アソコが…下半身に熱が集まっている。 それを見た達也さんの口角が上がっていた。 「ひっ、やっ、俺、そんなっ…ちょっと席外しますっ!」 俺は椅子をガッと引くと、“ばびゅん”という吹き出しがつきそうなくらいの勢いで飛び出した。 1人になれる所……トイレ!トイレの個室! 胸がドッドッって走ってる。 はぁっ…… 個室に入って、何とか無理矢理に自分自身を落ち着けた。 おい、弘毅。ここは会社だぞ!?会社で盛ってどうするんだ!? 自己反省していると、誰かの話声が聞こえてきた。 うわぁ…セーフだ。あと数分遅かったら鉢合わせして、イく声を聞かれるところだった… もう、達也さんのせいだ。 家に帰ったら絶対に文句言ってやる!

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