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難関突破!?(5)
意外だ。
いつも沈着冷静な達也さんでもそうなのか。
ふふっ。
「どうした?」
「あっ、ゴメンナサイ。
達也さんも人間だったんだなぁ、って思ったらちょっとホッとして。」
「…弘毅…俺はバケモノではないぞ。
まぁ、お前を抱く時には豹変するけどな。
今夜は…覚悟しておいてもらおうか……」
ひえっ!墓穴を掘った!?
「いっ、いやっ、でも、達也さんもお疲れですから、今夜は」
「煽ったお前が悪い。
美味い飯食ってエネルギーチャージして夜に備えるから覚悟しろ。」
うわぁっ……ヤバい。
でも……嬉しいかも…え!?嬉しい!?
黙り込んで百面相を繰り返す俺を信号待ちで停車した達也さんが、笑いを噛み殺して見ている。
「とにかく!腹が減った。
弘毅の美味い飯、早く食べさせてくれ!」
「……はい……」
自らが招いた夜のお誘い。
嫌じゃないのが既にヤバい。
というか。待っていた…待ってたんだよな、確かに。最近ご無沙汰だったし。
だって、だって。俺だって完全な男子なんだし。
『溜まる』という生理現象もある訳で。
おまけに大好きなひとと、そうなるのを望んでいる訳で。
頭の中で沢山言い訳をして、大きく息を吐いた。
「買い物はいいのか?」
「はっ、はいっ!」
「じゃあ、このまま帰るぞ。」
「…はい。」
ドキドキしながらその後は無言で家に着いた。
俺がご飯の支度をしている間に、達也さんはご機嫌で風呂に入り。
「後片付けは俺がするから」とバスルームに押し込められて……しっかり…しっかり『夜の準備』は済ませた…恥ずかしい…。
今夜はお代わりまでする達也さん。
食べている間も、絡まる視線がもう、熱い……
そんなに…そんなに俺のことを…嬉しい。
そして……離れていた時間を取り戻すように、激しく甘やかに抱き合った。
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