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難関突破!?(7)
達也さんと連れ立って家の中へ入った。
懐かしい我が家。
暫く帰省しないうちに、そこかしこが変わっている。
家具の配置が変わっていた。
ソファーは少し色褪せて、その代わりに新しいクッションが我が物顔で占拠している。
壁に飾ってあったラッセンの絵が外され、メルヘンチックな葉祥明のパステルカラーの絵になっていた。
母さんの趣味のちりめん細工が増えている。
ここ最近、お祝いにペアのウサギの置き物を頼まれてよく使っていると言ってたっけ。
父さんは…少し白髪が目立ち始めたのか?
年を重ねて相変わらずの威圧感だ。
「上がりなさい」と言うからそうしたけれど、父さんは達也さんのことをどう受け止めているんだろう。
俺のパートナーだと認識しているのだろうか。
「赤石さん、と言われるのか。」
「はいっ。」
「どうぞ、お楽に。」
「はい。ありがとうございます。」
俺は正直ビビっていた。
激昂した父さんが、達也さんに何を言うか何をするのか、怖くて仕方がなかった。
それに反して、達也さんはいつもの落ち着きぶりで。
座布団には座らず、父さんと対座した達也さんは
「突然の訪問をお許し下さい。
改めて…赤石達也と申します。
今日お伺いしたのは、弘毅君との結婚を前提とした交際を認めていただきたく、お願いに参りました。
同性同士ゆえ、越えねばならないことも多々あるかと思いますが、2人なら何があっても支え合って歩んでいけると信じています。
お許しいただけるまで何度でも伺います。
どうか、私に弘毅君を下さいっ。
お願いいたします。」
「…弘毅。お前は?お前はどうなんだ?」
どうなんだ?ってどうなの?
フリーズする俺に、父さんは再び尋ねた。
「お前はどうしたいんだ?」
「俺はっ!俺は達也さんと一生を共に歩んでいきたいっ!
性別なんて関係なく、赤石達也という人間に惚れたんだ。
この人と一緒なら、俺は絶対に幸せになれる。
…父さんが許してくれるまで、達也さんと一緒にお願いしに来るよ。」
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