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難関突破!?(9)

俺達は、鼻を啜りながら話す父さんを黙って見ていた。 ハッキリ言えるのは、父さんは怒ってはいない、ということ。 俺達の関係を知った上で、今ここにいる。 家にも上げてくれた。 どうやら、反対…ではなさそうだ。 「英も、最初は何とか別れさせようと躍起になったそうだ。 でも、色んな修羅場を越えて、最終的には認めたんだと。 俺、アイツに言われたんだ。 『親のプライドじゃない。子供が幸せかどうか、それが一番なんだ。』 ……弘毅、お前は幸せか?幸せになれるのか? 赤石さん、何があっても弘毅を守ると約束してくれますか?」 達也さんは即座に 「はいっ! 私の全身全霊を掛けてお約束いたします! 言葉でどうお伝えしてもお伝えしきれませんが…とにかく、一生どんなことがあっても大切にします! 弘毅君を私に下さいっ! お願いいたしますっ!」 「達也さん…… 父さん、俺、このひとじゃないとダメなんだ。 父さん達が望む結婚ではないだろうけど、俺が一番幸せなのは、達也さんと共に生きていくことなんだ。 お願いします! このひとと結婚させて下さい!」 再び2人で頭を下げた。 「…そうか、そうなんだな……やっぱりそうか……」 父さんが力なく呟いたその時だった。 ピンポーン ピンポーン ピンポーン 玄関のチャイムが、けたたましく鳴り響く。 「もう!一体誰!?こんな時に!」 母さんがぷんすこ怒りながら玄関に向かった。 俺達3人取り残された感はあったが、その場の空気は既に和やかになりつつあった。 玄関からは話し声と数人の足音が聞こえてきた。 バタンっ! 「父さんっ!早まるな……あれ?」 「勝義…茂明…義姉さんまで!?」 「あらやだ。もう話終わっちゃったの!? やだあ、間に合わんかったやん! 茂明、ほやさかいに(だから)もう一本早い便にしようって言うたんに! 皆んなご無沙汰してます。元気そうね。」

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