225 / 280

難関突破!(3)

拗ねて部屋に引き篭ってしまった父さんを除いて、達也さんの仕切りの元、幾つかの日にちの候補が上がった。 「何しろ人気の式場でして…。 実はこちらに伺う前に、幾つか事前に押さえてあるんです。 皆さんのご都合の良い日と重なる日があってラッキーでした。 では、この日に予約してもよろしいですか?」 「達也、やっぱりお前は策士だな。 やることが違うわー。」 「でも、肝心のお義父さんのご都合をお聞きしてないので…」 「あのひとの都合なんて、そんなもんないって! 大事な息子の結婚式ねんよ! 何があっても引き摺って連れて行く!」 「お袋、怖い…」 「母さん……」 「何?何ねんて!何か文句ある!?」 「加奈子、落ち着きや。 本当にもう、血の気が多い。献血行って血ィ抜いてもらっといで。 気ぃ付けんと、いつか血管切れるでぇ。 アレ狸寝入りやわ。 弘毅、あんた一人で行ってご機嫌伺いしておいで。 達也さんは私らとここにいて。話詰めんなんし。 弘毅がちゃんとお願いして甘えたらイチコロや。ほら、頑張っといで!」 「弘毅、ファイト!」 「しっかりね!」 「お前しかできないから頑張れ!」 口々に激励の言葉を受けて、渋々部屋のドアをノックする。 コンコン …返事がない。本当に寝てしまったのか? もう一度。 コンコン 「………何だ。」 「父さん、俺。弘毅。入ってもいい?」 「……いいぞ。」 そっとドアを開けて入ると、父さんはベッドに横になり、背中をこちらに向けていた。 「…父さん……」 「勝手に相手を連れてきやがって。馬鹿野郎。 それもあんな立派な男を。 何でそんな奴にかわいい弘毅をくれてやらにゃあいかんのだ。」 「……ごめんなさい。」 「謝ったって何したって、お前達の気持ちは変わらないんだろ? そんなら仕方ないじゃないか。」 「父さん……」

ともだちにシェアしよう!