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難関突破!(6)
達也さんのお陰で、俺はやっと落ち着いた。
もう、俺の精神安定剤みたいな感じ。
達也さんに触れているところから、安心感が雪崩れ込んでくる。
体温が、匂いが。俺を包んで癒してくれる。
達也さんに肩を抱かれて居間に戻って来ても、誰も冷やかしたり茶化したりはしない。
俺達のイチャつきは、皆んなに軽くスルーされるくらいになっていた。
うちの家族は何て適応力があるんだろう。
でもその受け入れ方、ちょっとおかしくないか?
普通ツッコミ入れるだろ?
俺と父さんが感傷的になっている間に、これからホテルのラウンジで軽く一杯飲もうか、ということになってたらしい。
おばさんや兄さん達は俺達とは違うホテルだったんだけど、もう泊まる気満々で予約も済ませて来ていた。
「ねぇ、繁さん起きてこないの?」
「ぐっすり寝ちゃってるから…姉さん達で行って来てよ。
これでひとりにしたら後で大変なことになるから。起きてきたら私達は“宅飲み”にするわ。
遠慮しないで行ってらっしゃい。」
「そう?じゃあ遠慮なく。
さあ、皆んな!飲みに行くわよぉ〜!」
「おばさん、ウワバミだからなぁ…」
「おじさん、ちゃんとストップかけてよね。」
「それは勝義の役目だろ?由美江さんのことは任せたよ。
俺は達也君達とゆっくり話したいからね。」
「うえっ、勘弁してっ!」
「母さん、父さんのこと…」
「心配しないでいいから。大丈夫よ。
もう覚悟は決めてるんだから。
ほら、楽しんでらっしゃい。
…次に会うのは結婚式かしらね。また連絡頂戴。」
俺はまた目を潤ませて頷いた。
「ではお義母さん、明日はそのまま駅に向かうので、これで失礼いたします。
お義父さんにご挨拶しないままですが…」
「分かってるからいいのよ。
達也さん、どうか弘毅のこと、よろしくお願いします。」
母さんはがっちりと握手をすると達也さんの背中をバシバシ叩いていた。
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