229 / 280
難関突破!(7)
ぞろぞろと百鬼夜行よろしく移動して、おばさん達が泊まるホテルに辿り着いた。
そのままエレベーターに乗り込み小洒落たラウンジに。
当然のように予約の名前を告げたおじさんを先頭に夜景を見下ろす奥の席に案内され、最初からここに来るつもりだったんだと気付かされた。
「さーて、何飲むかな。
この年になるとチャンポンすると二日酔いになるからね、昔は結構いけたんだけど…
由美江さん、何にする?
達也君、弘毅君、好きなものを頼んで。
勝義と茂明は…何だ、もう決まってんのか?」
「私はマティーニで!」
「俺はグラスビール。茂明は?」
「俺も!」
「私はギムレットで。弘毅は?」
「ノンアルコールのカクテルを…」
おじさんがそれぞれの注文と、つまみを幾つか頼んでくれた。
おしぼりで手を拭きながらおばさんが呟くように言った。
「それにしても…繁さん呆気なく陥落してたわね。
私らの出る幕なんかなかった。
ご近所の、なんて言ったかな、あのご家族の影響が大きいんよ、きっと。
物凄く反対して反発して葛藤したらしいけど、実際に2人を見たら、認めざるを得なかったみたい。
達也さん、弘毅、良かったね。
あの最大難関を軽く突破しちゃったやん!
繁さん、結婚式も出てくれるんやろ?」
「うん。母さんに伝えろって。」
「あんた、他にも何か言われたんと違う?」
「……うん。
『どうしようもなくなったら、帰ってこい、遠慮するな』って……」
「親心やねぇ…達也さん、あなたやっぱり責任重大やよ!
親族代表で…弘毅のこと、末永くお願いします。」
おばさんは深々と頭を下げた。
達也さんは更に背筋を伸ばすと
「何度でもお伝えしますし誓いも立てます。
私は絶対に弘毅君を泣かせたりしない。
生涯を通して、命を賭けて大切にします。
こちらこそ、末長くよろしくお願いします。」
テーブルに頭がつかんばかりに頭を下げた。
ともだちにシェアしよう!