235 / 280

挙式へ(3)

くすくすっ 「達也さんは俺の欲しいものを全てくれます。」 「全て?」 「はい!全て。」 「俺も弘毅から貰ってるぞ。」 「本当ですか!?」 「あぁ。俺達はお互いに欲しいものを与え合っているんだな。 弘毅、俺は独占欲も強いからそのつもりで。」 「くすくすっ。達也さん、俺もですよ。」 「ははっ、それは何よりだ。 そうだ弘毅、エステを予約してきたから明後日行っておいで。」 「え?エステ?俺が?何で?」 「遥さんオススメのブライダルエステ。 今回は腕と膝から下の足とデコルテだけにした。 しっとりときめ細やかな肌になるらしいぞ。 弘毅は今でも吸い付くような肌なんだが、更に磨きがかかるのは、俺も楽しみだな。」 「エステなんて、そんな…俺、そんなのやったこともないし…困ります。」 「勝手に決めて悪かった……嫌か?」 「嫌と言うか…その…達也さん以外の人に触られるのは…ちょっと……うわっ」 達也さんに抱きすくめられた。 「俺だって嫌だけれど。 でも、弘毅が俺のためにもっと綺麗になってくれたら嬉しい。 それにプロが仕事としてやってくれるんだから、その辺は仕方がないから妥協する。 実は、お前の通う美容室や、気さくに会話するスーパーの店員にだって、ちょっと嫉妬することだってあるんだ。 …心の狭い男だと笑ってもいいぞ。 でもそれだけ弘毅を俺だけのものにしておきたいんだ。 弘毅を閉じ込めて、誰の目にも触れないようにしたい……」 「もう、達也さん…」 呆れたように名前を呼ぶと、またぎゅ、と抱きしめる腕に力を込められた。 それにしても遥さん、なんてモノをオススメしてるんだ!? エステ、って俺、男なんだけど? それに乗っかる達也さんって……遥さんのセールストークに負けちゃったのか?

ともだちにシェアしよう!