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挙式へ(4)
翌々日、ちょっぴり悶々とした気持ちを抱えつつ、予約時間に間に合うように到着した。
「ようこそ、お待ちいたしておりました。」
笑顔の遥さんに出迎えを受けるが、俺のぎこちない笑顔に、遥さんはちょっと小首を傾げた。
「若林様…こちらへどうぞ。」
通されたのは、エステルームではなく先日打ち合わせをした事務室だった。
コーヒーを出され優しく尋ねられた。
「ひょっとして、余り納得されないままお越しになりましたか?」
「えっ、どうして分かるんですか!?」
「お顔に書いてありますよ…というのは冗談ですが。
お望みでないようにお見受けしたので…キャンセルもできますが如何いたしましょう?」
「…達也さんが…『俺のためにもっと綺麗になってくれ』って…俺は男なのに、何でエステなんて、って……どうやっても女性には敵わないのに…そう思ったら、何だかモヤモヤしちゃって…」
「そうでしたか…パンフレットをお読みになってた赤石様が、嬉しそうにお手配なさってたので、てっきり……」
「遥さんが勧めたのではなかったのですか!?」
「ええ。赤石様たってのご所望で。
勿論我々はアドバイスはさせていただきますが。」
「…そうなんですか、そうですよね。
あの…達也さん、どんな感じだったんですか?」
「それはそれは嬉しそうに…
『俺の弘毅はピチピチなんだけど、結婚式っていう晴れ舞台でもっと輝いてほしいんです。
だから、できることは何でもしてやりたいんです。』
と仰って、パンフレットで見つけたブライダルエステをご予約なさったんです。
ただ
『他人に余り触らせたくないから』
と、通常よりも範囲を狭めて……ふふっ。
ベテランの女性エステティシャンが担当します、とお伝えしたら、ホッとなさってましたよ。」
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