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挙式へ(5)

「そんなに楽しみにしてたんですか!?」 「はい。もう、蕩けそうな笑顔で。 若林様のことが、かわいくてかわいくて仕方がないといった感じでした。 男とか女とか、そんなこと関係なく、一生に一度の主役になれる日に1番輝いてほしいと、そう仰ってましたよ。」 嬉しそうな達也さんが目に浮かんだ。 ただひたすらに俺のためを思って、そうしてくれたんだ。 遥さんはそんな俺をじっと見つめていたが 「若林様…赤石様からナイショにしてくれ、と言われてたのですが…」 ドキン 「はっ、はいっ。」 「赤石様ご自身が、ブライダルエステを体験済みでして。」 「え!?」 「『サイコーに良かったから、弘毅にもぜひ!』とも仰ってました。」 「あの…達也さんが?」 「はい。ひと(伴侶)に勧めるのにまずは自分が体験しないと、と。 思い当たる節はございませんか?」 悪戯っぽい瞳で問われた。 そういえば……先週、えらくご機嫌で戻ってきた達也さんに丁寧に抱かれた時……触った背中も腕も滑らかで気持ち良くて…イイ匂いがしてた…まさか、あの日に? 俺は遥さんを見つめて、ただ頷いていた。 そうか、そういうことか。 男なのに、女だから、とこだわっていたのは俺だったんだ。 「遥さん、俺、達也さんのために綺麗になりたいです!エステ、お願いします!」 「承知いたしました。 あの、このことは赤石様には…」 「はい!ナイショで!」 くすくすくすっ すっかり気分の晴れた俺は、遥さんに案内されて…それでも初めてのことでドキドキしながらも着替えを済ませ、まな板の上の鯉の心境で、越村さんというベテランのおば様に身を任せたのだった。 あー…すっごい気持ちいい… 溜まってた疲れも毒素も全部流されていくようだ… オールハンドの心地良い手技に、段々と意識が遠ざかっていく……

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