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挙式へ(13)

賑々しく晴れやかに式を終えた。 白のフロックコートから普通のスーツに着替えた俺達は、食事会という名の簡単な披露宴の席へと向かう。 仰々しいのは嫌だから、とゴネた俺だったが、はるばる遠方から足を運んでくれた親族達へのせめてものお礼だから、という達也さんの意見に従ったのだ。 社長は最初から『式だけの参列で』と申し出があり 「ご親族でどうぞ和やかな懇談を。 赤石部長、弘毅君、お幸せに!」 と丁重に言葉を残し去って行った。 それからは、言葉通りに和やかなひと時を過ごした。 父さんは…いつもの父さんに戻っていて……おばさんに弄られたり親父ギャグを飛ばしたりしていた…ちょっと無理してる感はあったが、敢えて触れないようにした。 奮発してフレンチのフルコースを頼んだのだが、これがとても美味しくて好評だった。 舌の肥えてるおじさん夫婦なんか絶賛していた。 少しアルコールも入り、誰もが上機嫌のうちにお開きとなった。 今からチェックインした後、また飲みに繰り出すんだそうだ。 母さんにこっそり耳打ちする。 「ウワバミのおばさんと、泣き上戸の父さんを頼むね。」 「勝義達がいるから大丈夫よ。 弘毅、あんた気疲れしちゃったでしょ。 ゆっくり休みなさいね。」 「うん、ありがとう。気を付けて。」 みんなに改めてお礼と感謝を伝え、タクシーに分乗させ見送ると、さっきまでの賑やかしさは何処へやら、風で木々の葉が擦れ合う音と小鳥の囀りだけが残った。 「…弘毅、お疲れ様。本当に綺麗だったぞ。 みんな喜んでくれて良かったな。」 「達也さんもお疲れ様でした。 色々とご配慮ありがとうございました。」 自然と差し出された手に自分の手を重ね、事務室へと向かう。 達也さんが精算を済ませている間、俺は遥さんにこっそりと別室へ呼ばれた。

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