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かわいい秘密(6)
がちゃり
バスルームのドアが開く音が聞こえた。
マズい!
反射的に、手に持ったそれをスラックスのポケットに突っ込み、パッケージやリボンを鞄の隙間に押し込んだ。
無理に押し込んだせいで、鞄は少し歪に膨らみを帯びた。
あとは何もなかったように取り繕うだけ…
心臓がばくばく跳ねている。
ポケットの上からそっと手を当てて押さえた。
遥さん…コレ、俺にどうしろと!?
「弘毅、お待たせ。入っておいで。」
「ひゃっ、はいっ」
「ん?どうした?…緊張してるのか?」
「んもぉー!達也さんの意地悪っ!」
それだけ言うのが精一杯で。
「おい、弘毅、それ」
背後で達也さんが何か言ってたけど、俺は構わずバスルームに駆け込んだ。
「…ポケットから何か紐が出てるぞ、って教えてやりたかっただけなんだけどな。濡れて困るものでないなら、ま、いいか。
それにしても、弘毅のやつ分かりやすいくらいに動揺して…ふっ。」
ひとり言を呟いた達也さんが、その後、用意周到枕の下にローションを忍ばせたり、ティッシュの位置を確認したり、スキンをあちこちに配置したり…してたことなんて知らなかった…
はぁ、まだドキドキが止まらない。
ポケットに手を入れ、柔らかな布を引っ張り出した。
あー…これはどこからどう見ても『下着』。
それも飛びっきりキュートな、所謂紐パン。
紐の繋ぎ目のところに小花の刺繍が付いていて、ストレッチが効いてるし肌触りが凄くいい。
遥さん、コレでダンナさん達喜ぶって本当ですか!?
凝視するのも手に持つのも何だか憚られ、そっと籠の中に入れた。
あ、俺の着替え…達也さん用意してきてくれたって言ったたけど、何処にあるんだろう…今更戻るのは気が引けるし、取り敢えずバスローブで戻ればいいか…
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