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幸せのステップ(2)
酒井さんも寄って来ると
「うわっ…左手の薬指…
若林君っ!私達に黙っていつ結婚したのっ!?
ずるいっ!!!
結婚式行きたかったのにっ!!!
きゃぁっ、相手は?誰?どんな人?
まさか…社内恋愛!?
はぁ…若林君を狙ってる女 もいたのに…」
「すみません、あの…身内だけで挙式も済ませて入籍もしたので…そんな大事にしないで下さいっ!
ですので、何もお構いなく……」
「何言ってんの!?こうしちゃいられないわ!
お祝いしなくっちゃ!
酒井さん!お店貸切にできる日、お父さんに聞いてみて!
あら?…係長、いらしたんですか?
おはようございます。ひょっとして、若林君のこと、ご存知だったんですか?」
「え?いや、まぁ…ね?」
「もう!教えてくれればいいのにっ。
部長は?部長もご存知なんですか?」
「え?いや、まぁ…」
「もーぉ!うちの男性陣ときたら守秘義務か何か知らないけど…ノリが悪いっ!
係長、今週どの日になるか分かりませんけど、夜空けて下さいねっ!
あ、部長にもお伝え下さいっ!」
そう言うと、酒井さんを連れてダッシュで出て行った。
「…はぁ、怖かった…」
「若林君、大丈夫?」
「はぁ、取り敢えず……」
「あの様子じゃ、各課に放送しに行ったんだな。
あと1時間後には、結婚の話題で、君は一躍時の人となるよ。
俺もそうだった…」
係長は遠い目をして気の毒そうに言った。
「おはよう!
岡田女史達、凄い勢いで走って行ったけど、何かあったのか?」
「部長!」
「達也さ…あわわ、部長っ!」
実はこれこれ、こういう訳で……
と一頻り説明すると、達也さんの肩が震え出した。
「くくくっ……テンプレ通りの大騒ぎが始まるのか…寺橋の時もそうだったよな。」
「ええ、そうでしたね。」
「誰かが結婚となると、いつもコレだ。
弘毅、1週間程で収まるから無視してていいぞ。」
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