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幸せのステップ(19)
ごくっ、と達也さんの喉が鳴った。
「…弘毅、今、何て?」
後から考えたら、その時の俺はどうにかなってたんだと思う。もし、今の俺がその場にいたら、羽交い締めにして口を塞いでいたと思う。
今までそんなこと、自分から言ったことない…と思うけど…
達也さんは真剣な目をして俺を見つめている。
見る間に頬が朱に染まっていく。
俺も、かあっ、と頬が熱くなるのを感じながら、動きの止まった達也さんを見つめてもう一度告げた。
「…早く、早く俺の中に、来て…達也さんで満たして!」
大きく目を見開いた達也さんは、顔をくしゃくしゃにして頷いた。
「仰せのままに。」
達也さんは枕元からローションを取り出すと、俺にワザと見せつけるように蓋を開け、手の平に垂らした。
あれ?見たことのないラベル…
俺の視線に気付いたのか、達也さんは面白そうに告げた。
「コレか?新しいのを買ってみたんだ。
弘毅、そんなところに気付くなんて、余裕だな。
でも、その余裕なんて…すぐになくなるぞ。」
達也さんは、ローションでぬめぬめと光る指を後孔に押し当て、指先をつぷりと差し込んできた。
あうっ…
ぬる、とした感触と温もりに戸惑う。
温めてないのにちょっとあったかい!?
「ん、イイな。あれ…柔らかい…弘毅、俺のために準備してくれたのか?」
「うっ…そんなこと聞かないで下さいっ…」
「あぁ…俺の弘毅はかわい過ぎるよ…
なぁ、頼む。俺をこれ以上壊さないでくれ。」
うつ伏せになるように促され、今からの行為を思うと、心臓がまた跳ね始めた。
入れるぞ、と雄の声がした。
と同時にゆっくりと、柔らかいのに硬いモノが入ってくる。
あぁ、クル。待ち焦がれた雄のシルシが。
「弘毅、ゆっくり息を吐いて…そう、上手。」
大きく深呼吸をして、達也さんを受け入れていく。
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