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第一章・7

「幾らぐらいのお返しが、妥当なのかな」  逸朗は、スマホで『手編みのセーター』にかかる金額を調べてみた。   『手編みセーターの平均価格は、9,545円』 「ほぼ一万円じゃねぇか!」  恐れ入った。  旭は、一万円を日々編み綴っているのだ。  この俺のために。 「まいったな……」  貯金がないことはないが、一万円の出費は痛い。  でも、チープなプレゼントを贈って、ケチ呼ばわりされるのは嫌だ。  何たって、俺はαなんだから!

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