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第一章・10

 放課後まで残って、旭は編み物を続けていた。    今日は、塾が休み。  家に帰って続きをやっても良いのだが、ひと段落つく所まで編み上げてしまいたかった。    誰もいない教室。  邪魔するものがいないため、思ったより早く片付いた。  毛糸や、編み上がった部分をバッグに入れて帰り支度をしていると、誰かが入って来た。 「やぁ、宮城」 「船津先輩!」  2年生の船津 慧(ふなつ さとし)だ。 「この教室だけ明かりがついてたから。消し忘れかと思ってね」  船津は、スイッチを切って電気を消した。

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