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第一章・17
運命の、12月24日がやって来た。
朝、廊下で逸朗は旭にバッタリ出会ってしまった。
旭の手には、紙袋が下げてある。
あの中に、例の手編みセーターが入っているに違いない。
逸朗を目にした旭は、ぱあっと明るい笑顔を作った。
早足で、近づいてくる旭。
(おいおい、今ここで!?)
放課後じゃなかったのかよ、と焦りを覚えつつ、逸朗は咳を一つした。
心の準備を、整えた。
『はい。これ、クリスマスプレゼント。一生懸命編んだんだよ』
『悪いな、一応受け取ってやるよ』
こうなるはず、だった。
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