25 / 153
第一章・20
放課後、とぼとぼと下足棟に向かった逸朗を待っていたのは、笑顔の旭だった。
「真柴くん、寸法測らせてくれてありがとう」
おかげで、船津先輩にセーターを贈ることができたよ、と旭は屈託のない笑顔だ。
「船津先輩にプレゼント、って。お前、身の程を知れよ。倍率、何倍だと思ってるんだ?」
船津は、かなりモテる。
2年生でありながら、旭をはじめ1年にも、年上の3年生にも、モテる。
そう言う逸朗に、旭は唇を尖らせた。
「解ってるよ、それくらい」
自己満足でも、いいんだもん。
その他大勢でも、いいんだもん。
いつか、セフレ脱却するんだもん。
そんな旭は、バッグから包みを取り出した。
ともだちにシェアしよう!