31 / 153
第二章・3
夫婦円満に協力してあげてるんじゃない、と旭は言う。
「真柴くん、偉いよ!」
「そ、そうか?」
「じゃあ、決まり。今年のイブは、真柴くんもボッチじゃないからね!」
「決まったのかよ!?」
旭の実家は県外なので、マンションを借りて独り暮らしだという。
そこに逸朗は、お邪魔することになった。
「いいよなぁ、独り暮らしだなんて。自由気ままで」
「うん。でも、ちょっぴり寂しい時もあるよ」
今夜が、そういう時なのかな。
そんな風に、逸朗は考えた。
必死でセーターを編んでいた、旭。
だが、その相手は手の届かないような憧れの先輩で。
ともだちにシェアしよう!