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第二章・10

「解ったぞ!」 「わぁ! びっくりした!」 「宮城。お前、俺を疑似船津先輩にしているな!?」 「わ、解っちゃった!?」  船津先輩に贈るセーターの採寸を、俺で済ませていたくらいだ。  こうやって俺に抱かれていれば、船津先輩にそうされているような錯覚を起こしやすい! 「人を弄びやがって」 「ごめんね……」  小さな体を、さらに小さくしてしまった旭。  だが逸朗は、その腕をほどかなかった。 「キャンドルが消えるまで、だからな」 「え?」 「火が消えるまでは、船津先輩でいてやる」 「ありがと……」

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