45 / 153
第二章・17
部屋に独り残された旭は、逸朗の残していった思い出を必死に片付けていた。
食器を拭いて、キッチンボードへ収めて。
ソファのカバーを、換えて。
ずっと逸朗が触れていた、ソファのカバー。
旭はそれを洗濯機に入れる前に、きゅっと抱きしめた。
「ごめんね、真柴くん」
もしかして彼は、電話の会話を聞いていたのかもしれない。
いくら船津先輩のことが好きだから、って。
今から帰るところ、だなんて……。
その時、ドアベルが鳴った。
船津が、やってきたのだ。
ともだちにシェアしよう!