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第三章・4

(いや、待て。別に何も、俺の知ったことじゃないはずだ)  俺と宮城は、何でもないんだから。  偶然の成り行きで、クリスマスのプレゼントを交換しただけだし、イブを一緒に過ごしただけだ。  ただの、友達だ!  そう考えると、少し頭の冷えた逸朗だった。 「……くん。真柴くん!」 「え? あ、ごめん」 「僕もね、プレゼントの手袋つけてるんだよ。気づいてた?」 「あ、ホントだ。ありがとな」 「うん」  にっこりと嬉しそうに微笑む旭の表情が、とても良くて。 (あ……)  逸朗は、思わず見蕩れていた。

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