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第三章・5
逸朗と旭のクラスは、新卒の若い教師が担任を受け持っていた。
陰では『お兄ちゃん』と呼ばれているくらい、生徒たちに寄り添い、受け入れられていた。
「君たち、昨夜は楽しく過ごせたか?」
生徒たちはみな笑顔で、また始まった、と囁き合った。
「いいか。イブは、あくまで前夜祭だ。本当のクリスマスは今日だということを、忘れるな!」
「先生、何かあったんですか?」
「何もなかったから、こんなことを言ってるんだ!」
昨日何もなかったからと言って、落ち込むな。
要は、今日何かあれば万事OKなんだ。
朝からそんな、毒にも薬にもならないことを言う。
しかし、少なくとも二人の少年には薬になっていた。
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