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第三章・8

 会話を盗み聞きしていた逸朗は、膝から崩れ落ちそうだった。  カラオケ!  宮城とカラオケ、持ってかれた! 「残念だったな、真柴」 「船津先輩と宮城は、お似合いだからな~」 「可哀想な真柴は、俺たちがかまってやるよ」  友人が、逸朗を口々に冷やかし……いや、慰めた。  いつもならば、散れ! という所だが、今日の逸朗にはダメージが大きすぎた。 「お世話になります……」  落とした肩をバンバン叩かれ、とぼとぼと席に戻った。

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