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第三章・9
メインストリートを外れて、どんどん寂しくなっていく道を歩きながら、旭は心細くなっていた。
「ごめんね。クリスマスだから、こんな外れのカラオケしか予約できなくって」
「その代わり、旭ちゃんの好きなもの何でも注文していいから!」
「マイクも、離さなくってもいいから!」
「俺たち、旭ちゃんの歌なら、ずっと聴いていたいから!」
船津先輩、友達が僕と遊びたがってる、って言ったけど。
3人もいるなんて、思わなかったな。
周囲を囲まれ、旭は身を固くしていた。
(2年生の中に独り、なんて緊張しちゃうな)
ふと、そこに逸朗の顔が浮かんできた。
真柴くんが一緒なら、心強かっただろうな。
僕も、友達を誘えばよかった。
そんな不安を抱えた旭を連れて、船津と友人たちはカラオケボックスに入って行った。
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