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第四章・11
「おい、真柴! お前、油だらけの手でマイク持つなよ!」
「あ、ごめん」
逸朗はその頃、友人たちと楽しんでいた。
ピザを素手で食べたので、油で汚れてしまったのだ。
「俺、手ぇ洗ってくる」
「うん」
「早く戻れよ、お前の番もうすぐだから」
陽気な歌声の響く廊下を歩き、逸朗はレストルームへ向かった。
手を石鹸で洗い、すぐにまた元の道を歩いた、はずだったが。
「あれ?」
何か、風景が違う。
「ここ、どこだ?」
受け付けは、全て友人にまかせてしまった逸朗だ。
自分の部屋番号すら、知らなかった。
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