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第四章・12

「ま、歩いてるうちに着くだろ」  似たような部屋を、覗いてみる。  だがどれも、演歌を歌う中年だったり、アニメを歌う家族連れだったり。  その中に、逸朗と同じ制服のグループを見つけた。 「何だ、ここだったのか」  逸朗は、大きくドアを開けた。  遅いぞ、何やってたんだ。  こんな声を予想していた逸朗だったが、全く想定外の人間がそこには居た。 「あ、れ? 船津先輩?」  船津が一人で、モニターを前に熱唱している。  ソファには、数名の人間のかたまりが。 (船津先輩も、この店だったのか)  と、なると、当然その横には宮城が……。  いない。  てっきり二人で、デュエットでもしてるんだと思っていたが。

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