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第四章・19

 タクシー料金も逸朗が払い、何とか旭の部屋へ到着した。 「お、お風呂に」 「一人で大丈夫か?」  逸朗に返事をする余裕もない旭は、手早く制服を脱いでしまうと、バスルームのタイルの上にうずくまった。  そして、吐いた。 「う、うぐっ。はぁ、はぁ、うぅう!」 「宮城」  逸朗は手足の袖と裾をまくると、温かな湯をシャワーで流した。  蒸気が旭を包み、悪寒がしていた体が落ち着きを取り戻してくる。  バスタブにも湯を張るようにしてから、逸朗はバスルームを出た。 「何かあったら、すぐに呼べよ?」 「……ありがと」

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