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第四章・24

 逸朗は、何か言いたかった。  旭を、慰めてあげたかった。  だけど。 『αの俺が、Ωのお前なんか相手にできるか、っての』  そんな思いを、ほんの前まで旭に抱いていたのだ。  無性に、恥ずかしくなった。  自分に、腹が立った。  ただ、αに生まれただけで、Ωという人間を食い物にする。  同じ人間なのに、差別する。 (俺も、船津と同類じゃないか!) 「ごめんな、宮城」 「何で真柴くんが、謝るのさ」  それでも逸朗は、α代表としてΩの旭に謝らずにはいられなかった。

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