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第五章 上書き保存
ようやく落ち着きを取り戻した旭の部屋で、逸朗はカラオケボックスに置いて来てしまった友人たちに連絡を入れた。
「勝手に抜けてごめん。俺の荷物、とりあえず明日学校に持ってきてくれないか?」
「いいけどさ。何があったんだよ。少しは心配したぜ?」
それは……。
旭のことを正直に話すのは、まずいだろう。
「何か、トイレで具合悪くなってる人がいてさ……」
その人を介抱して、家まで送ったのだ、と説明した。
あながち、嘘ではないだろう。
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