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第五章・3

 真柴くん、料理するの?  そんな驚いた風の旭だ。 「任せとけって」  幼いころから、両親が意識して逸朗をキッチンに立たせていた。  実は、料理は得意なのだ。 「ネギ……は、無いか」 「ごめんね。僕、料理はほとんどやらないんだ」 「俺らくらいの年齢なら、まずしないだろ。普通だよ、普通」 「ありがとう」  気を遣ってくれる逸朗の温かさが、身に染みる。  旭は、彼を信頼していた。

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