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第五章・5
食事を終え、食器を片付け、逸朗は旭にシャワーを借りた。
「今夜は泊ってくれ、なんて」
よっぽど怖かったんだな。
そして、今も。
好意を持っている旭の部屋へお泊り、というのに、ちっとも心が浮つかない。
ただ、旭の気持ちに寄り添っていた。
そして、力になりたい、と思っていた。
「サンキュ。さっぱりしたよ」
「この部屋着、まだ未使用だから使って」
旭のものにしては、やたら大きなサイズのスウェットだ。
身につけてみると、逸朗にぴったりだった。
「まさか、俺がシャワー浴びてる間に、買ってきたわけじゃないよな」
笑いながらそう言った逸朗だったが、次の旭の告白で笑顔は凍った。
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