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第五章・8

 ああ、泣くな。  あんな奴のせいで、あんな奴のために、もう泣くなよ。 「たぶん船津先輩は、僕がイブの夜を自分以外の人と二人きりで過ごしたことに、怒ったんだと思う」  ちょっと待て。  それって、俺のこと? 「いや、俺と宮城は友達以上のことは何も……」 「それでも、自分のお人形が取られたような気がしたんだよ、きっと」  だから。  お仕置きに。 「だからって! あんなことしていいはずないだろ! それに、お前は人形じゃない!」  そこに、ドアベルが鳴った。

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