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第五章・11
「俺、ちょっと様子見てくる」
「気を付けて」
「ドアを開けなきゃ、平気だ」
足音を立てないように、そっと玄関へ続く廊下を歩いた。
「船津……」
監視カメラのモニターを隅から隅まで見ても、船津の姿はなかった。
どうやら、諦めたようだ。
ホッとして寝室へ戻ると、旭は毛布を頭から被って小さく丸くなっていた。
「大丈夫だ。あいつは居なかったよ」
「よかった……」
もう寝ようぜ、と逸朗は旭の背を撫でた。
眠れば、凄惨な記憶も少しは薄れるかもしれない。
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