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第五章・25

 身体の汚れをウェットティッシュで拭き取り、逸朗は旭にパジャマを着るよう言った。 「風邪ひくぞ」 「寝る時はいつも裸だ、って言ったら?」 「う、嘘!」 「嘘だよ~ん」  ふふふ、と笑う旭の表情からは、暗い影が消えていた。  もちろん、これで全てが拭い去られたわけじゃない、と逸朗は思う。  それを証拠に、パジャマを着た旭は、再び逸朗の胸の中に潜り込んできたのだ。 「抱いて眠ってくれるかな?」 「いいよ」  やんわりと、壊れ物を扱うように抱きしめた。  それで安心したのか、旭はようやく体から力を抜いた。

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