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第五章・26

「宮城、寝たか?」 「……」  すうすうと、規則的な寝息が聞こえてくる。 「よかった……」  とんでもない、クリスマスだった。  こうやって、宮城と深い仲になったのはいいとして。  いや、あんな出来事さえなければ、こいつはもっと幸せだったはずだ。 「ホントに、俺なんかでいいのかよ……」  俺は、αだ。  ただし、凡庸な。  こんな俺が、成績優秀、人気抜群の宮城と好き合ってもいいのかよ。  宮城は、ホントに俺のことが好きなのか?  好きだけど、まだ『愛してる』ってわけじゃないよな、きっと……。  逸朗が寝付くまでには、まだ時間がかかりそうだった。

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