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第六章・4

 カラオケで別れてしまった友人に、謝り。  昨日のままの教科書しか入っていないバッグに、焦り。  それでも大切なマフラーはちゃんと手元に戻って来たので、逸朗はホッとした。 「何があったんだよ」 「訳を話せよ」 「なんで宮城はお前のこと『逸朗』って呼んでるんだよ」  友人たちの追及は、厳しかった。  逸朗は観念し、端的に述べた。 「俺と宮城……、旭は、付き合うことになったんだ」 「マジ!?」 「一体どんな手を!?」 「この犯罪者!」  いやいやいや、と逸朗は両手を振った。

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