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第六章・7

 何事もなく過ぎ去ろうとしていた一日だったが、気の緩んだところで厄災はやってくるものだ。  帰る準備をしていた逸朗の元へ、友人の一人が駆けてきた。 「真柴! 来たぞ、2年!」 「何ッ!?」  横目でドアの方を見てみると、ネクタイの色が違う他学年の生徒が。  あれは確かに、2年生だ。 「あいつ……!」  忘れもしない、カラオケボックスで旭を犯していた奴だ。 (何のつもりだ? まさか、また旭のことを……)  しかし2年生は、旭ではなく逸朗を指名してきた。 「真柴くん、だよね。ちょっと、いいかなぁ?」

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