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第六章・13
逸朗は、船津の手を素早く握った。
ただし、少し踏み込んでその手首を。
後は、思いきり引いた。
「!?」
手首を取られ、渾身の力で引かれた船津は、前につんのめった。
逸朗の懐に転がり込み、無防備な後頭部を見せている。
「うぉお!」
雄たけびを上げ、逸朗は船津の頭に思いきり頭突きを喰らわせた。
体勢を整えようと首を上げかけていた船津の後頭部に、カウンターで逸朗の渾身の頭突きが入ったのだ。
「……!?」
船津は、一瞬気が遠くなった。
その隙を逃さず、二発、三発と逸朗の頭突きが襲う。
思わず、手からカッターナイフが滑り落ちた。
(こんなもん、隠してやがったのか!)
逸朗は、それを遠くに蹴った。
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