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エピローグ
旭は、教室で新しいセーターを編んでいた。
時々顔を上げ、窓際を見る。
そこにいる、逸朗に手を振ってみせる。
逸朗も、そんな旭に片手を上げる。
二人の間に流れる、幸せな時間。
あれからすぐに、船津は転校した。
恐る恐る彼の自宅へ行ってみたが、そこも空き家になっていた。
逸朗にマウントを取られたことが、よほどショックだったのだろう。
我慢ならなかったのだろう。
そう解釈し、逸朗はひとまず胸をなでおろした。
旭への脅威は、無くなったのだ。
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