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第3話-3

「お前の盛大な自由奔放さに付き合えるのは、本当に俺くらいだと思うよ。」 「よく言われる。”あなたの自由奔放さは、遊ぶにはいいけれど、恋人としては付き合えない”ってな」 「お前が遊ぶ女性に馬鹿は居ないな」 「それだと、俺に付き合っているお前が馬鹿って事になる」 「実際そうなんだろうね」  風間がそれを聞いて、愉快そうに笑う。その邪気のない笑顔を間近で見ながら、やはり彼のことが自分は好きなのだと自覚する。   普段抑圧している風間への感情が、彼からの理不尽な揺さぶりにより行き場のない怒りに代わる事もあれば、今この瞬間感じている想いのように胸を締め付けるような切なさにも似た想いになる事もあった。  冗談だと分かっていながらも、いまだ何かを伝える勇気のない薫は、風間からの戯れのキスに苛立ちながらも、素直に求めてしまう気持ちもとうに認識していた。 「…それで。いつまで待たせるつもり?」  普段通りの調子で返せたと思うのだが、少し懇願するような口調になってしまったかも知れない。薫が頭の片隅でそんな事を考えたのは、風間が微かに口許を笑みを作ったからだ。  何の意図があるのか分からないが、とりあえず風間の唇を受け止めながら、なるべく先ほどと同じように冷静で居ようと試みる。唇が一度触れ、少し離れる様にして舌先で輪郭をなぞると、そのままゆっくりとこじ開ける様に腔内へ侵入してくる。先程と異なる感覚に、戸惑いを覚えながら、まずいな、と薫は思った。流石に手慣れているだけあって上手い風間ではあるが、まるで恋人に対してするようなやり方だと感じたのだ。  冷静でいようとする頭の片隅で、女性にはいつもこのようなキスをするのかと思うと、焦燥感が駆り立てられる。今まで積み上げてきた関係は、薫の我慢強さと臆病さによるものだ。風間はそんな薫の心情を知る由もないだろう。知らずにいるからこそ、戯れに薫に絡むのだと、自戒の念を込めて言い聞かせてきた。  それが崩れる前に、風間から離れなくてはいけないと肩口を腕の外側で軽く押しやる。 「…風間、…もういいだろう?」 「もうちょい」  薫の意思をあっさりと却下すると、角度を変えた風間が再度口づける。

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