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第24話
「結構遅くなったな...」
パチ、と部屋の電気をつけ時計を見れば時刻は夜10時を過ぎた辺りだった。
明日も朝早くから葬式関係の後始末をする、という理由で俺以外の3人はそのまま式場に泊っていた。
“あんたの顔なんか見たくもない。もう、帰ってちょうだい”そういう母親の言葉とともに俺は一人、家に帰ってきた。
何もする気が起きないまま、上着を放り投げなんとなしに部屋を出る。
そして部屋を出た俺の足は無意識のうちに隣の...兄貴の部屋へと向かっていた。
ガチャリ、と冷たいノブを掴んで部屋へと入る。
「ここで...あいつは死んでたのか、」
中に入ってすぐ俺は扉の近くを見て、そしてあたりをぐるり、と見回した。
ついこないだ、最後に俺が出ていったときと変わらぬ光景。いつもの...最悪な日常と変わることのない部屋の中。
一つ違うことがあるとすれば、ベッドの上に座り薄気味悪く微笑む兄貴の姿が無いことくらいか。
―...?何だ、あれ...
その時、ふとベットの枕元に置かれていた手帳のようなものに目がいった。
「...手帳にしては、少し厚い...っ!!これ...」
引き寄せられるようにベッドの方へ行き、手帳を手に取り中身を見た俺は眉をひそめた。
手帳の中には特に文字などはあまり書かれておらず...たくさんの写真が貼られていた。
それは全部俺の写真。一番前のページにあるものは中学の俺のもの。そして最後のページにあったのはこないだとられたのであろう、俺の写真。
隠し撮りされているものから、セックスの最中のもの...ハメ撮りの写真もあった。
―こんなの、いつの間に...っ、全く気がつかなった。
「こんなの他の奴が見たら...」
いつ家族の誰かが入るかもわからない状況でこれをそのまま放置するわけにはいかない。すぐに処分しなければ。
そう思った俺はすぐにその手帳をズボンの後ろポケットへと入れたのだが...
――パタン...
「...っ!」
急に何かが倒れる音がして、後ろを振り向いた瞬間全身が硬直し、動けなくなった。
―かなし...ばり...?
ドクドクとなる心臓。部屋の中は電気をつけていなかったせいで薄暗く、明かりといえば窓から射し込む月の光だけだった。
キシリ、キシリとなる床の音。それは四方八方から聞こえ、俺は恐怖で頭が真っ白になった。
―クソっ、何なんだよ...っ、こんな...。もしかして....――兄貴、なのか...?
その考えがよぎった瞬間、俺の心臓は先ほどよりも早く、バクバクとうるさく鳴り始めた。
思い出すのは...兄貴と交わした最後の約束。
『死んでくれたらいくらでもあんたのこと好きになってやる!あんたの想う通りの俺になってやるよ!』
ひどい後悔の念がその時、生まれた。
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