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第25話

 「はぁ、はっ...あ、土屋...土屋...っ」  数分間続いた金縛りが解けてすぐ、俺は走って兄貴の部屋を出ると自分の部屋へと逃げていった。  震える手の中にある携帯を使って俺は迷わず土屋へ電話をかける。  『もしもし、渉君?急にどうし――、』  「土屋っ、今すぐ俺の家に来てくれ...っ、お願い、お願いだから...っ」  『渉君大丈夫?一回落ち着こう。何かあったの?』  「いいから早く来てくれよ!後で全部ワケを話すから...っ、」  『う、うん。分かったよ、すぐに行く。着いたら、ワケもちゃんと教えてね?』  「分かったから早く来て...っ、家の鍵、開けてるから勝手に入ってきてよ。家、着きそうになったらメールして、」  『分かった。それじゃあ、』  ツーツーとなる携帯を耳から離しベッドの上に置く。  未だに震える体。バクバクとなる心臓。  とにかく1人でいるのが嫌で土屋を呼んだ。  ――落ち着け、落ち着け...っ、もうすぐ土屋だって来てくれるんだ。  多分、土屋は車で来るだろうから遅くても15分くらいで家に着くはずだ。  「...きっと疲れていたんだ。疲れていて...」  事実、金縛りにはあったが実際に兄貴の姿を見たわけではない。  短い期間で色んな事があったから、精神的に疲れていたんだ。  「少し落ち着こう、」  そして数回、ゆっくりと深呼吸をすると俺は気持を落ち着かせるのと同時に、染みついた線香の匂いもおとそうとシャワーを浴びるために浴室へと向かった。

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