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第27話※土屋視点

「死んだ。あいつは死んだ。」  そう口にした瞬間、肌がゾワリ、と鳥肌だった。そして俺の顔には笑みが浮かぶ。  ―計画していた通りにはいかなかったが、結果的には上手くいった。それはもう予想以上に。  渉の兄、歩は俺の中で最も憎い人間だった。  聡明で、眉目秀麗だった歩は大学内でもとても有名で人気があった。  しかし俺はそんな歩のことが大嫌いだった。  どれだけ勉強しようとも届くことのないあいつとの差。何をやってもあいつの下。  小中高と人の上に立ってきて周りからもいつも眺望の眼差しを向けられてきていたのに、それなのにその栄光も大学に入って歩と出会ってからすべて奪われた。  高校、大学と俺に媚びへつらってきたやつらも今では俺から離れ、歩の元に纏わりついている。  バカみたいに歩に媚びて尊敬の眼差しを向けるんだ。  そして最後には付き合っていた彼女も俺から離れ、見込みもクソもない歩に必死にアプローチし始めた。  頂点に立てなくなった瞬間に、こうだ。 俺の栄光、俺の唯一の糧を奪われた。 理不尽、そう言われるのかもしれないがそれでも俺は心を踏みにじられるような思いにさらされ、歩を憎むようになった。  それなのに歩は周りが望む全てを手に入れ、幸せだけを満喫していた。  そして俺は歩に対して負の感情を持つようになった。  そんなある日、俺は誤って教室の窓から筆箱を落としてしまい、それを拾うために学校の裏庭にきていた。  その時、だ。俺はあいつの本性を知った。  歩はわざわざ人の来ない裏庭で電話をしていた。  『渉、今どこにいるの?もう32回も電話したのに繋がらなかったからすごく心配したよ。 ほら、渉今日学校休みなんだろう?だからもし誰かといたら僕嫉妬しちゃうからさ。それを確認したくて...、ねぇ、今.....男の声が、聞こえたよ。誰、誰なの。 2人っきりなのか?何してるの、なぁ渉、渉答えてよ。 昨日はあんなに激しくしたのに、まだ足りなかった?......、あぁ、そう。じゃあ今日はもっと可愛がってあげるよ。だからそんなに声を荒げないで。興奮してるのは僕も一緒だからさ』

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