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第50話

 ―もう、わけがわからない。なんで...なんで急にこんなことになってしまったんだ。  俺といるのが疲れた、そう言って車の前に飛び出した土屋。  昨日までそんな素振りなんて一つも見せていなかったのに。  土屋が飛びだし、急ブレーキの音、何かがぶつかる鈍い音、人の悲鳴...それらが俺の耳に入ってきた。  パニックを起こした俺は訳も分からないまま人気のない方へ、ない方へと走っていった。  ―認めたくなかった。現実を。  だけど俺は見てしまった。土屋が大量の血を流して道路に倒れているのを。  「なんで...なんで、なんだよ」  土屋だけは違うと思っていたのに。信じたくなかった。  だけど今、考えてみればあの土屋の急変ぶりは俺のことが本当に面倒くさい、と心の中で思っていたからこそできたものなのかもしれない。  そうじゃなければ、あそこまで1日で態度など変わったりはしないだろう。  ―結局、誰も俺を見てくれないんだ。  心の支えにしていた土屋もいない。  しかしそれに対して俺は土屋の死に対する悲しさよりも、依存主である土屋がいなくなり孤独に追い立てられることの方が怖かった。  暗闇に包まれた公園。ポツリポツリと降り始めた雨。  俺は重たい足取りでその中へと行き、唯一電灯で明るく照らされているベンチに腰掛けた。  「もう...嫌だ...」  動く気にもなれず、全てが投げやりになってしまう。―――生きることさえも。

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