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 「俺のところにおいで」  俺に手を差し伸べ、そういったのは土屋。  「俺がずっと渉君のそばにいてあげるよ。何も怖がることはない。君はただ俺と一緒にいてくれればそれでいいんだ」  付け加えられた言葉はそれだけ。だから俺はその手を取った。  ―それなのに、  「渉君、携帯貸して。―――...うん、よし完了っと。...え、何したのって?あぁ、渉君の知ってるメアド、俺以外の全部消したんだ。だって、必要ないでしょ?俺がいるんだから」  土屋は、  「なぁ、同じクラスの生徒と話していただろう?...ダメじゃないか。どうして俺以外の人間と口を利くんだ。明日からは絶対に口を利いちゃいけないよ」  どんどんと、  「あぁ、イラつく。渉君を見るあいつ等の目。渉君を瞳の中に閉じ込めていいのは俺だけなのに」  俺を異常なほどに束縛して、  「渉君、今日から君はもう学校に行ってはいけないよ。大丈夫、もう退学届けは出したし、ご両親からの許可ももらったから。」  俺の全てを支配した。  「これでいいんだ。渉君は何も悩むことはない。ただ、あの3つの約束だけは守ってね」  ― 1つ、土屋以外の人間と話をしてはいけない。  ― 2つ、マンションから外へ出てはいけない。  ― 3つ、土屋の言うこと全てに従う。  それが俺と土屋の間で交わされた約束。  「渉君なら守れるよね?」  土屋の問いに頷く俺。  そうして数年が経ち、今の俺を知る人物はこの世で土屋だけになってしまった。

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